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柴犬が億万長者になる話

2回中退を経て慶應へ通う柴犬が20億円は稼ぐ

結婚市場とリクルート

1.ゼクシィの成功と分析ツールの説明

2.Five Forces Modelによる分析

3.VRIOフレームワークによる分析

4.競争ポジションの視点から捉えるiPhoneの失敗

5.参考文献

 

 

 

  • ゼクシィの成功と分析ツールの定義

ゼクシィとは、リクルートが発行している結婚情報誌である。見つけにくく価格もわかりづらかった結婚式場の情報をカタログ化した。驚くべきことにゼクシィの登場以前は一覧性の高い情報メディアがほとんど存在しなったのである。結婚するカップルが昔のように来なくなり、ホテルや結婚専門式場が困り果てていたとき、ゼクシィが登場する。創刊直後の業界の評価は「あんな雑誌に広告を出すのはもってのほか」だった。これまで業界のタブーだった、結婚式と披露宴の料金見積もり“比較表”の提出を、義務づけたからだ。特に結婚式が高額商品として貢献率の高かったホテルは、一斉に掲載を拒否した。そうした中、ゼクシィはゲストにじわじわ支持されていく。結婚式場を決めるのに、自宅で好きなときに比較できたためだ。検索エンジンのキーワードとして一時期「ゼクシィ」は「結婚」というキーワードよりも多く検索された。それほど成功を収めたのである。

 

Five Forces Modelとはポーターが提唱した外部環境分析ツールである。業界の収益性に影響を与える要因を網羅的にピックアップし、「既存企業間の対抗度」「新規参入の脅威」「買い手の交渉力」「売り手の交渉力」「代替品の脅威」という5つのグループに大別した。

 

次にVRIOフレームワークとは、企業固有の資源や能力に基づいた競争優位の持続性を考察する分析枠組みである。VRIOとは、資源がもたらす「経済価値(Value)」、資源の「希少性(Rarity)」及び「模倣可能性(Imitability)」に、資源を活用する「組織(Organization)」体制という、競争優位の持続性を決定する4要因の頭文字を集めたものである。

 

最後に企業の競争上のポジションとは、一般に「リーダー」「チャレンジャー」「フォロワー」「ニッチャー」に分類される。業界内で最大シェアの企業が「リーダー」である。リーダーの座を手中にしようと挑戦する姿勢を示すのが「チャレンジャー」である。提供している製品•サービスや、ターゲットとしている顧客セグメントがユニークな企業が「ニッチャー」である。挑戦姿勢もユニークさもない企業が「フォロワー」と判別される。

 

 

  • Five Force Modelによる分析
  • 既存企業間の対抗度

ゼクシィ以前は、結婚情報を網羅したメディアはなかったため既存企業間の競争はなかった。そのためリクルートは、先行者として振る舞うことができた。

 

  • 新規参入の脅威

まず、コスト上の要因を挙げる。情報誌において規模の経済は重要である。結婚に関する情報が多種多様であるほど顧客にとっては好ましいからである。また、既存ブライダルに営業をかけ強いパイプを作る経験効果も重要である。次に、コスト以外の要因を挙げる。業界参入時の必要資本量は大きい。多くの営業部隊を派遣して雑誌への案件の掲載を請う必要がある。次に製品差別化も難しいと考える。リクルートの情報編集能力によって売れにくい案件を魅力的にしている現状がある。それと差別化するのは容易ではない。以上の分析の結果、参入障壁は高い。よって当該業界は新規参入の脅威は、小さいと考える。

 

  • 買い手の交渉力

買い手は、主に広告枠を買う式場側と雑誌を買う顧客に分かれる。式場側にとっては結婚を望む顧客にダイレクトマーケティングができる。他方、雑誌を買うユーザーにとっては500円という値段は高くない。ただし最近ではインターネットで検索して直接、結婚式場を探すようにもなっているからスイッチングコストは小さい。以上を鑑みると買い手の交渉力はやや高いと言える。

 

  • 売り手の交渉力

求人雑誌の販売から始まったリクルートの強みは、営業部隊と情報編集力である。商品は十分に差別化されているが、業界全体を左右するとは言い難い。そのため売り手の交渉力は中程度だと考えられる。

 

  • 代替品の脅威

十分にあり得る。DeNAに約50億円で買収されたキュレーションアプリMERYのように結婚もカテゴリに含まれるメディアの登場も考えられる。またインターネットであれば印刷費がかからないのでより原価は安くなり利益率は高くなる。事実、インターネット口コミサイトであるWedding Parkにゼクシィのサイト閲覧者数を抜かれている。

 

 

今でこそ就職や転職を支援する求人情報サイト「リクナビ」など多くのウェブサービスを展開するリクルートだが、もともとは大学の学生向け新聞の広告販売からスタートしている。やがて就職情報誌を始め、様々な情報誌を発行するようになった。そのため今ではリクルートは、広告販売を主体とする情報メディア企業と分類されている。

 

①経済価値

リクルートは起業家を多く輩出する人材輩出企業でもある。人材採用力もあり営業力もある。巨大IPOを果たしたのは記憶に新しい。リクルート事件を経て売上高1兆円を達成した企業の底力も見受けられる。

 

②希少性

今でこそ就職してから起業する事例は珍しくない。リクルートは、創業から大企業になってからも継続して起業家を多く輩出しているという面でも希少である。幹部が役員会議よりも採用面接を提案する、というのは有名な話である。リクルートのような事業形態で彼らほどの規模と高収益をあげる企業は世界を見渡してもなかなかない。

 

③模倣可能性

その事柄やジャンルを表すのに真っ先に思い出されることを「純粋想起」と呼ぶ。リクルートが得意としているのが、「純粋想起」のポジションを狙うことである。結婚は、「ゼクシィ」であり、就職は「リクナビ」、不動産は「SUUMO」になる。重大な決断を伴うイベント領域において、選択肢を提供することに強みを持つのがリクルートである。学生ベンチャーとしての遺伝子がありブランド力も高い。そのため模倣するのは非常に難しいと考える。

 

④組織

2012年よりリクルートホールディングスへとガバナンス体制を変更している。その際、複数の主要事業門を分社化した。現在、リクルートホールディングスを持ち株会社として、同社を含む5つの中核事業会社と3つの機能会社がある。経営資源を最大限に利用するための組織が整っている。

 

 

  • 競争ポジションの視点から捉えるiPhoneの失敗

Amazon.comのCEOであるジェフ•ベゾスは長期的視点から経営を行っている。AWS(Amazon Web Services)は意識的にAWSを赤字覚悟の低料金にしている。またKindleをデバイスを得ることで儲けていないことは有名だ。ベゾスは、稼ぐことを要求する株主に対して、「Steve Jobsの失敗を繰り返したくない」と回答している。これは、ベゾスがiPhoneを失敗だと考えているからだ。iPhoneは素晴らしい製品であり、ユーザーはジョブスが設定した値段を喜んで支払う。何も問題はないように見えるが、ベゾスに言わせればそれが失敗なのだ。つまり、この分野でiPhoneがそれだけの利益を上げられたのであれば、利益率を少々削れば価格優位な製品が作れると広く認識させてしまった。GoogleAndroid OSを無料でメーカーに提供開始すると同時に、スマートフォン市場は一気に熾烈な競争の中に投げ込まれた。Apple天文学的なキャッシュを社内に積み上げることには成功したが、スマートフォンのシェアではあっという間にAndroidに敗れた。

 

企業の競争場のポジションの視点から捉えてみる。一般に「リーダー」「チャレンジャー」「フォロワー」「ニッチャー」に分類される。業界内で「リーダー」だったiOSは、「チャレンジャー」であるAndroidに敗れてしまった。その結果、AndroidはリーダーとなりiOSは「チャレンジャー」もしくは「ニッチャー」となったのである。

 

5.参考文献

尾原和啓(2015)「ザ•プラットフォーム」 NHK出版新書

東洋経済オンライン(2012/8/24)「独り勝ち•『ゼクシィ』商法の光と影

網倉久永、新宅純二郎「経営戦略入門」日本経済新聞出版社

週刊東洋経済(2012/8/25)「リクルートの正体」

ブラッド•ストーン(2014)「ジェフ•ベゾス 果てなき野望」